今まで家庭で一般的に使われてきた電球は、水銀灯と呼ばれるものでした。
しかし現在ではLEDが普及してきており、切り替えを検討されているご家庭もあるでしょう。
そこで今回は、水銀灯からLEDに切り替えることで得られるメリットと実際にどの位のコストが削減できるかについて解説したいと思います。
また、コストを実際に削減した事例についてもご紹介致します。
水銀灯からLEDに切り替えるメリット
費用を比較する前に、水銀灯からLEDに切り替えるメリットについてご紹介していきましょう。
まずは水銀灯とLEDの性質の違いについて、一覧表でまとめてみました。
水銀灯 | LED照明 | |
消費電力 | 400W | 100~130W |
寿命 | 3,000~12,000時間 | 40,000時間 |
演色性 | Ra=45以下 | Ra=70以上 |
点灯性 | 5~10分 | 瞬時点灯 |
ランプ発熱 | 300~400度 | 80~90度 |
水銀含有率 | 30mg | なし |
光束の低下率 | 2,000時間で-30% | 2,000時間で-10% |
これを見て頂ければわかるように、LEDは様々な面に置いて水銀灯より優れています。
ご家庭で1番大きなメリットとなるのは、電気代の節約になる経済面ではないでしょうか。
消費電力の欄を見てもわかるように、LEDは少ない量の電力で使うことができます。
そのため例え同じ時間使用したとしても、LEDの方が断然安く済むのです。
またLED独自の性能面も見逃せません。
スイッチを入れれば即座に点灯してくれる使いやすさ、平均寿命の長さなど、これもLEDに軍配が上がります。
最後に注目して欲しいのが環境面でのメリットです。
水銀を使用していないので廃棄する際にかかる手間も省けますし、発熱量が全く違うため、火傷や火災などのリスクも抑えることができます。
次項ではこれら3つのメリットについて、もう少し詳しくご説明していきましょう。
経済面のメリット
消費電力が少ないのですから、電気代が安くなるのは簡単に理解できることかと思います。
LEDは水銀灯の約1/4の消費電力で点灯することができますので、約75%の節電効果が得られることになるのです。
「元々3,000円かかっていた電気代が750円になった」、これだけでも大きな恩恵となりますが、LEDの「発熱しにくい」という特徴にも経済面でのメリットはあります。
80~90度の発熱に抑えられるため、空調の負荷を軽減できるのです。
これにより、電球そのものの電気代を含め、冷房効代も節約することが可能です。
性能面におけるメリット
性能面で言えば、やはり寿命が挙げられます。
水銀灯の平均寿命はおよそ3,000~12,000時間になりますが、LEDの平均寿命は40,000時間ほどと、水銀灯の4~10倍長寿命です。
これは電球の買い替えコストや交換の手間が省けることになります。
また上記でも触れたようにスイッチを入れてから点灯するまでの時間が、LEDの方が圧倒的に短いのです。
個人的に筆者はぼんやりと明るくなっていく水銀灯独自の光り方も嫌いではありませんが、それでも瞬時に最大の明るさまで点灯してくれる便利さは嬉しいメリットです。
環境面におけるメリット
最後の環境面におけるメリットは、何も地球規模のものだけではありません。
LEDの多くは、素材がフィラメントやガラスではありません。
これは仮に落としてしまったとしても、割れて飛び散ることはないので、怪我のリスクを防げます。
また発光ダイオードを使用しているため漏電の危険性も少なく、火災につながる可能性も低いのです。
火災といえば発熱が挙げられますが、これもLEDは水銀灯の1/3~1/4程度ですので、発火の危険性はグッと下がることになります。
このようにどの点をとっても、LEDは水銀灯よりも優れた光源なのです。
次項からは気になるコスト面について、詳しくご説明していきましょう。
LEDに切り替えてコストを削減できた事例
ここでは実際に水銀灯とLEDの具体的な金額を比較していきましょう。
参考としまして、下記のような条件の元算出していきます。
LED | 水銀灯 | |
電気代単価(1kwhあたり) | 18円 | 18円 |
数量(本) | 50本 | 50本 |
消費電力(W) | 104W | 415W |
点灯時間(1日あたり) | 15時間 | 15時間 |
点灯日数(1カ月あたり) | 30日間 | 30日間 |
初期ランプ単価 | 39,800円 | 5,000円 |
交換時ランプ単価 | 33,800円 | 5,000円 |
ランプ寿命 | 50.000時間 | 12.000時間 |
まずは1番気になる電気代です。
それぞれ1日~10年と、様々な期間で算出してみました。
電気代を比較した場合
LED | 水銀灯 | 差額 | |
1日 | 1,404円 | 5,603円 | 4,199円 |
1週間 | 9,828円 | 39,218円 | 29,390円 |
1か月 | 42,682円 | 170,316円 | 127,634円 |
1年 | 512,179円 | 2,043,792円 | 1,531,613円 |
3年 | 1,536,538円 | 6,131,376円 | 4,594,838円 |
5年 | 2,560,896円 | 10,218,960円 | 7,658,064円 |
10年 | 5,121,792円 | 20,437,920円 | 15,316,128円 |
このように長く使えば使うほど、LEDを使用する方がお得になることがわかります。
次は切り替え費用としてかかるトータルコストを計算した表です。
切り替えにかかるトータル費用を比較した場合
LED | 水銀灯 | 差額 | |
照明器具単価+初期ランプ単価 | 1,990,000円 | 250,000円 | 1,740,000円 |
LED取付工事費 | 750,000円 | 0円 | 750,000円 |
ランプ交換作業費 (1回あたりの個数合計金額) |
5,000円 | 5,000円 | 0円 |
ランプ交換代に差はありませんし、LEDの専用照明器具への取り付け工事費がかかるため、3つの合計額で見てみると、LEDは高くかかることになります。
次はこれらのトータルコストに、先ほどご紹介した電気代をプラスして考えてみましょう。
トータルコスト+電気代を比較した場合
LED | 水銀灯 | 差額 | |
1年後 | 3,252,179円 | 2,293,792円 | 958,387円 |
3年後 | 4,276,538円 | 6,636,376円 | ‐2,359,838円 |
5年後 | 5,300,896円 | 10,978,960円 | ‐5,678,064円 |
10年後 | 9,556,792円 | 21,707,920円 | ‐12,151,128円 |
最初の1年目では、LEDの方が高くついてしまいます。
しかし3年後には、それが逆転し水銀灯を使い続けた方が高くつくことになるのです。
これはLEDのがそれだけ安い電気代で使用し続けられることの証明とも言えるでしょう。
最初に購入コストはかかりますが、長い目で見れば、水銀灯からLEDに切り替えた方がお得になるのです。
最後に地球規模で考えるCO2の排気量も比較してみました。
CO2の排出係数を比較した場合
LED | 水銀灯 | 差 | |
1年後 | 13.10t-CO2/kwh | 52.26t-CO2/kwh | 39.16t-CO2/kwh |
3年後 | 39.29t-CO2/kwh | 156.78t-CO2/kwh | 117.49t-CO2/kwh |
5年後 | 65.48t-CO2/kwh | 261.29t-CO2/kwh | 195.81t-CO2/kwh |
10年後 | 130.96t-CO2/kwh | 522.59t-CO2/kwh | 391.63t-CO2/kwh |
その差は比べるまでもなく、LEDの方が少ない排気量です。
つまり地球に優しい光源は、水銀灯よりもLEDなのです。
メリットを理解した上で最適なLEDを選びましょう!
LEDは経済面・性能面・環境面、全てにおいて水銀灯よりも優れた光源であることがおわかり頂けたでしょうか。
唯一デメリットがあるとするならば、最初にかかるコストです。
専用の照明器具への付け替えなど、どうしても最初に大きな費用がかかることになります。
しかし使用電気代が安く済みますので、それもすぐにペイできますよ。
現在も水銀灯を使用しているのであれば、ぜひLEDへの切り替えを検討してみましょう。