家庭を明るく照らす電球ですが、その光に紫外線が含まれているのをご存知ですか?
例えば蛍光灯ですと日光の1/1000の紫外線が含まれており、室内で10時間光を浴びることは日光を35秒浴びるのと同じくらいになります。
では最近普及してきているLEDはどうでしょうか。
電気代も安くなり長寿命のため交換する手間も省ける優秀な光源ですが、紫外線が大量に含まれているとなると切り替えも迷ってしまいますね。
そこで今回はLEDに含まれる紫外線について、詳しくご紹介していきたいと思います。
LEDから紫外線は出るのか?
紫外線を浴びることは、日焼けをしてしまうと同時に発がん効果があるなど、決して身体に良い影響は与えません。
ではLEDから紫外線は発せられているのでしょうか?
答えはイエスです。
LEDからも紫外線は出ています。
しかしご安心ください。
身体に害を及ぼすほどの量は出ていないのです。
LEDには紫外線をほぼ照射しないタイプと紫外線を含むタイプの2種類があります。
一般的に市販されているLEDの多くは紫外線を含みません。
しかし中には「近紫外LED」や「紫色LED」などの、赤・緑・青色の蛍光体を光らせるものに関しては、紫外線を発生させてしまいます。
LEDが光を作り出す仕組み
まずはLEDが光を作り出す仕組みについてご説明しましょう。
LEDには発光ダイオードという伝導体が使われていますが、実はこの発光ダイオードは白色を作り出すことができないのです。
しかし我々の上で光るLEDは白く光っていますよね。
これは3つのうちのいずれかの方法を使って、白色になるように工夫されているのです。
- 方法その1:青色LEDと、その光で励起されて黄色を発光する蛍光体の2つを組み合わせて白色光を作り出す方法
- 方法その2:赤色LED・緑色LED・青色LEDの3つを組み合わせて白色光を作り出す方法
- 方法その3:近紫外LEDまたは紫色LEDにより、赤色・緑色・青色の蛍光体を光らせる方法
このように、青・黄・赤・緑など様々な色を使って、白色光は作られています。
ここで注意せねばならないのが「方法その3」です。
「赤色・緑色・青色の蛍光体を光らせる」とあるように、方法3でも白色光を作ることは可能ですが、そもそも白色光のために使われる方法ではないのです。
そしてこの方法3のみが、紫外線を発生させる方法になります。
紫外線の量は蛍光灯の1/200
上記でご紹介した3つの方法ですが、一般的に販売されているLEDの多くは「方法1」で白色光を作り出しています。
そのためほとんど紫外線を発していないのです。
ちなみにこの紫外線量をLEDと蛍光灯で比較してみましょう。
紫外線量を表面接触時に計測した場合、下記のような数値になります。
- 蛍光灯:約113~159μw/cm2
- LED照明:約0.5~0.8μw/cm2
数値を見てもわかるように、LEDは蛍光灯のおよそ200分の1にまで低減されています。
冒頭で「蛍光灯の紫外線量は日光の1/1000」と述べましたが、LEDは更にその1/200しか紫外線を発していないのです。
この「LEDは紫外線量が極端に少ない」というのは、様々なメリットに繋がります。
例えば紫外線が少ないことは被照射物への負荷の減少にもなりますので、この特徴を生かし、美術館の展示品のライトアップや、衣料品の陳列台など、日焼けを防ぎたいものに対して有効です。
また紫外線が少なければその分発熱もしにくいわけですから、食料品の保冷ケースや化粧品のショーケースなどの熱に弱い商品を守るためにも利用されているのです。
ちなみに紫外線が少ないため「虫が寄りにくい」という特徴もあります。
このようにLEDは紫外線発生量がとても少ないため、幅広い範囲で効果を発揮するのです。
紫外線を利用したLED照明
市販のLEDにはほとんど紫外線が含まれていないことはおわかり頂けたかと思いますが、最後に紫外線を利用したLED照明についてもご紹介しておきましょう。
紫外線を発生させるLEDは何に利用されているのでしょうか。
例えば厳格に色を確認しなければならない色合わせの現場などでよく使われています。
またLEDは設計次第では様々な波長を出すことが可能なので、紫外線のみを出すLED (UV-LED) や、赤外線のみを出すLED (IR-LED) なども販売されています。
紫外線のみを出すUV-LEDは、意外と私たちの身近でも使用されています。
偽札かどうかを判断する紙幣識別機等のセンサー用光源、レジンやジェルネイルなどの樹脂を硬化させるための化学反応用光源、他にも光触媒との組み合わせによる空気清浄器の光源用等としてなど、多岐に渡り使われています。
LEDには紫外線を発生するものとしないものがある
ご家庭で使われるLEDからも紫外線は出ていますが、それはほんの微量なもので、身体に悪影響を与えるようなものではありません。
市販で販売されているLEDにはほぼ紫外線はないと言っても良いでしょう。
LEDにはわざと紫外線を発生させるように作られたものもありますが、それらは私たちの生活を豊かにするものに利用されています。
LEDには3つの白色光を作り出す方法があり、それらを駆使することで、紫外線が発生するものとしないものを作り分けているのです。