LED照明商品を見ている時に、「調光可能」という文字をみかけたことはありませんか?
LED照明の中にはこの調光機能で、よりその光を楽しむことができるものがあるのです。
しかしその調光を行うためには調光器という器具が必要になります。
この調光器には様々な種類があり、そのタイプに合ったLED照明器具を買う必要があります。
そこで今回はこの調光器について、その種類や機能を詳しくご紹介していきましょう。
調光器は3種類ある
そもそも「調光」とは?
調光とは、その名の通り「光を調節する」ことになります。
つまり光の明るさを調整することです。
最近ではご自宅のシーリングライトなどでもナイトモードの搭載などにより、リモコンで調光することが可能な商品も多くなりました。
他にもタイマー設定ができたり、調光段階も2〜4段階でできたりと、その機能も種類も多くなってきました。
ちなみに携帯画面の液晶パネルの明るさも、手軽に変更することができるかと思います。
これも調光機能と同じです。
携帯のバッテリーの持ちを見てもわかるように、調光は消費電力をも調節できることから、省エネの観点から見ても優れた機能なのです。
そしてそんな調光器には大きく分けて3つの種類が存在します。それが
- PWM調光
- 位相制御調光
- デジタル制御調光
この3つです。
次項からはこの3つの調光器について、ひとつずつご紹介していきましょう。
種類その1:PWM調光
PWM調光の特徴
PWM調光は、別名「パルス幅変調」とも言います。
これはLED素子の点灯時間と消灯時間をコントロールする方法で、そのLED素子の点灯と消灯を左右しているのがPWM信号です。
そのためPWM調光と呼ばれます。
例えば点灯時間を長く設定すれば明るくなりますし、その時間を短くすると暗くなります。
このPWM信号の周波数が低いと、いわゆる「ちらつき」と呼ばれるフリッカー現象が起きてしまいます。
このフリッカーは体調不良を引き起こしかねない現象ですので、そのため一般的な照明器具やバックライトでは、通常時で200Hz程度の高い周波数で設定されていることがほとんどです。
メリット・デメリット
PWM調光器のメリットは、調光範囲がとても広いということです。
そのため光に些細な変化をもたらすことも可能です。
他にも電圧の変動や電源の品質の影響も受けにくく、扱いやすいというメリットもあります。
デメリットとしましては、PWM調光専用の調光装置が必要になることです。
そのため最初に用意せねばならない機材代が高額になります。
種類その2:位相制御調光
位相制御調光の特徴
位相制御調光とは、フィラメントに電圧を与えて発熱する力を光に変換する方法で、この方法が1番使われている一般的な調光方法になります。
位相制御調光ではトライアックと呼ばれる器具で交流電源の波長の一部を切断することで明るさを調整します。
電流を多く流して波長を切断する時間が長くすれば明るくなり、逆に切断の時間を短くすることで暗くすることができます。
メリット・デメリット
位相制御調光器のメリットは、その仕組みがシンプルですので、供給する電流を変化させるだけで調光ができることです。
それには電子ボリュームや可変抵抗器などを使用することになります。
デメリットとしては、PWM調光器ほど調光範囲を大きくすることができません。
大きくしてしまえば光がちらつきますし、電圧の変動により明るさに影響が出ることもあります。
また位相制御調光は本来蛍光灯など従来の発光源で使われていた手法ですので、LED照明で位相調光を採用するという方法はまだあまり普及しておらず、位相情報をPWM信号に変換するといった措置が必要になってきてしまいます。
種類その3:デジタル制御調光
デジタル制御調光の特徴
最後にご紹介するのが、調光器から照明器具へ直接デジタル信号を送って制御する方法です。
電源線とデジタル制御用の信号線の2つが必要になりますが、デジタルで制御するため高度調光が可能です。
メリット・デメリット
デジタル制御調光器の何よりのメリットが、上記でも述べた高度な調光機能です。
正確な情報を伝達させることができるので、調光範囲の大きさを自由に選べることはもちろん、イルミネーションの瞬きなどの連続させて行う調光にも非常に柔軟に対応させることができます。
デジタル制御調光器の1番のデメリットがその費用です。
PWM調光器でも費用がかかることをデメリットに挙げましたが、デジタル制御調光器の場合はそれ以上に高度な専用装置が必要になりますので、より機材が高額になります。
調光による寿命の変化はあるのか
例えば白熱電球の場合です。
白熱電球は、フィラメントを加熱して発光する仕組みですので、フィラメントのタングステンが蒸発し折れることで寿命を迎えます。
しかしこの白熱電球で調光を行えば、タングステンの蒸発が抑制されることになりますので、寿命を長く持たせることが可能です。
このように、調光はフィラメントの寿命を延ばすのに効果的なのですが、それは電圧による衝撃や突入電流を与えないという特徴があるためです。
ではこれをLEDで使えば、白熱電球と同じように寿命を延ばす良い方法となるのでしょうか。
答えは「相性による」と言えます。
例えば位相制御調光器での調光は、電源の波形を崩すものです。
そのため白熱電球には対応できますが、LEDなど位相制御を発光原理としていない照明器具に使用すると、安定器に異常な負担を与えることになり、寿命が短くなったり光の強さに支障を及ぼします。
しかし調光器の種類に対して対応しているタイプのLEDを使えば、消費電力を節約することができます。
とはいえLEDは元々発光原理にフィラメントを使用していませんので、寿命に関してはあまり大差はありません。
LEDは調光器によって省エネは出来ますが、それによる寿命の延長などはないのです。
調光によって消費電力は変わるのか
上記でも述べたように、調光器の使用によって消費電力に違いは生まれます。
単純に明るさを絞っている間は、従来の点灯よりも少ない電力で点灯することになりますので、充分な節電ができると言えるでしょう。
しかし調光器により電力の出力を0%にしたとしても、電気代が一切かからないかというとそうではありません。その状態でも通電は行っているため、少量の電力は消費しているのです。
これを「待機電力」と呼びます。
ですので「一切電気代をかけたくない」と思うのであれば、その時は調光器で0%に絞るのではなく、元のコンセントから抜くなどの対処が必要になります。
LED調光器を購入するには
購入前に調光可能・不可能を確認しよう
調光器の購入の前に、目的のLED照明器具が調光可能なものかどうかを必ず確認しましょう。
調光不可のものに調光器をつけたところで、一切意味はありません。
また繰り返しになりますが、タイプの違う調光器を接続すればそれは故障の原因になってしまいます。
価格はどれくらい?
調光器はその種類やできる機能の幅で大きく値段が異なります。
1番安いものですと1,000円程度で購入することも可能ですが、業務用のものともなれば20万円以上の値段がするものもあります。
また調光器そのものだけでなく、機能させるために必要な配線や器具も必要になる場合がありますので、最初に調光器だけの金額を見るのではなく、「使えるまでにかかる金額」を調べてから購入しましょう。
どこで買える?
調光器は簡単に手に入れることができます。
LED照明器具を購入した電気店にも置いてあるでしょうし、インターネットで買うこともできるでしょう。
ただ調光器との相性を素人が判断するのはリスクが伴いますので、よく調べてからインターネットで買うか、心配なようなら電気店のスタッフなどに確認を取るのがおすすめです。
調光器の種類を把握し商品選びに生かそう
調光器には3種類存在します。
- PWM調光
- 位相制御調光
- デジタル制御調光
これらの種類をしっかりと把握した上で、調光可能なLED照明器具を選びましょう。またその際には調光器の金額だけでなく、必要な配線等すべての金額で考える必要があります。
調光器によってLEDの寿命が延びることはありませんが、節電に繋がり電気代を節約することは可能です。
また生活スタイルによって調光器を使い分けるのも良いでしょう。
今回ご紹介した情報を参考にし、ぜひLED照明を調光器で彩ってみてはいかがでしょうか。