LEDは発光ダイオードを用いた光源です。
省エネ・省電力・電気料金が安い、といった特徴を持つことから、
照明用に白熱灯や蛍光灯からの置き換えが盛んに行われ、とくに東日本大震災以降は置き換えが大幅に進みました。
自治体も補助金・電球交換キャンペーンなどを盛んに行い、現在では公共施設のほぼ100%でLED照明が使われているといいます。
LED照明は用途も多彩で、発熱しにくい・交換の頻度が少ない、といった特徴から、電子部品にも多く使われています。
オーディオ・センサ・携帯電話など、精密機器にも多用されます。
車・バイクの照明パーツ・鉄道模型・ジオラマなどのホビー用部品にも手軽に使われる光源でもあります。
この記事では、なかでもはんだ付けなどの加工もしやすい、模型などの自作ホビー分野の主流光源である「チップLED」を取り上げ、その特徴や用途・使い方について、ホビー用途を中心に解説します。
チップLEDとは?
LEDというと、いままでは端子が2本出ていて発光部分が透明樹脂で覆われているいわゆる砲弾型が多く使われていました。
しかし、いまはモノの表面にはんだ付けして実装することができる表面実装用のチップLEDが主流となっています。
チップLEDは高照度タイプのLEDとして分類されます。
端子が2本出ている砲弾型LEDと比べると、小さな部品で強い光をより広角で照射できる特徴から、幅広く使われるようになっています。
どんなことに使うの?
チップLEDは照明用・センサ用に幅広く使われています。
なかでも車・バイクの照明・鉄道模型用の照明・ジオラマといった分野で大変多く使われています。
カー用品として多用されるテープLEDの中身もチップLEDが使われます。
小型・薄型の光源であることからホビーの分野でも使われやすいのですが、とくに鉄道模型に関しては「それまでの鉄道模型の表現を一変させた」とさえ言われます。
薄型でどの部位にも大変使い勝手がよいうえ、
- 発熱が少ないこと
- 大量生産で安価で流通すること
といったチップLED照明の特徴からそれまでの2端子タイプの砲弾型にかわって主流の光源として使われています。
ちなみにチップLEDの構造は以下のように分類されています。
代表的な用途も一緒に紹介したいと思います。
樹脂モールドタイプ
こちらはLED光源の表面を樹脂で覆ったタイプで、この樹脂は断熱材であることが一般的で反射材が使われていません。
照度がさほど求められない場合により多く利用されます。
模型・表示・スイッチ用照明など多用途で利用されています。
リフレクタータイプ
ある程度強い照度が求められる際に選ばれるタイプです。
工業製品では主に車両のメーター照明・液晶バックライト・モニターバックライトなどに利用されています。
照度が高い分、発熱が気になりますから、放熱機器とも併用されることが多いタイプでもあります。
シングルチップLED
こちらは一つである程度の照度が求められる場合に用いられるタイプです。
光源としてマルチチップと比べ効率はよくはありませんが、放熱効率はよい為、周囲の部品への熱の影響が最小限で済みます。
レンズや反射鏡に使われている事が多いです。
マルチチップLED
シングルチップLEDに対してマルチチップLEDは一つのパッケージの中に多くの小さなLEDチップを集めて光源としての効率性を高めたものです。
放熱効率があまり良くないことから、周囲の部品に対する熱からの影響をあまり考慮しなくて良い場合に使われます。
車・バイクのパーツとして使われることが多いものです。
光源が複数ですので、影が出にくく、面での照明効果を狙う場合や、人の目に触れる照明として使われることにも向いているとされています。
チップLEDの種類
チップLEDの種類はすでに紹介しました通り、樹脂モールド・リフレクター、シングルチップ・マルチチップといった構造上の種別があります。
さらに大きさにより、主に下記の種類が市場に出回っています。
- 1608
- 2012
- 3216
- 3020
- 3528
- 5630
- 5050
これら4ケタの数字は、上2ケタが横、下2ケタが縦の長さを示しており、単位はmmです。
このように大きさごとに種類があるLEDを基盤に装着する際には、各大きさのLEDに合わせた専用の基盤を用いて装着安定性を確保しています。
加えてLEDは調色性が高いことから、上記の大きさによる種類に加え、赤・青・黄色・白色といった色による種類があります。
また、混合色に調整したタイプもあります。
チップLEDの選び方
上記のように、チップLEDには
- 構造および照度の違い
- 光源が単数か、複数か
- 大きさや色
により違いがあります。
なにを表現したいか、そして的確にそのLEDで表現できるか、といったことは色や照度の選び方で決まります。
また、その他の特徴を頭に入れないと表現と実用性が両立しないこともあります。
そこで、こちらでは自作のパーツ用として選ぶ際のポイントを解説致します。
照明の寿命
光源が複数の場合、一つ一つのLED光源の寿命にばらつきが出てしまいます。
「寿命を気にする場合」や「後からの置き換えがしにくい箇所のパーツとして用いる場合」は、単数の光源を選ぶほうが向いています。
たとえば5050は3光源が1パッケージに入っていますが光源それぞれに寿命がくることがリスクとなります。
大きい=明るさ?
大きさ(面積)と照度は実は正比例の関係にはありません。
たとえば、5050の中は3つの光源があり、面積比では5630より大きいですが、単一光源からなる5630のほうが照度は高くなっています。
大きさについては、基盤の他の部品との関係やはんだ付けのしやすさとむしろ直接関係してくるものであることも覚えておいたほうがよいでしょう。
照度はどうやって見分けるのか?
LEDの照度=明るさはルーメンという単位であらわされます。ルーメン値が大きいほうが照度は高くなります。
明るい=発熱しやすい
ルーメン値と発熱には正比例の関係があります。
ですので、他の部品との関係や放熱装置の有無により、ルーメン値と光源数の調整や、パーツの間隔をあける・基盤を調整するなどの工夫が必要になってきます。
取り扱いやすさ
チップLEDを用いる場合、通常ユニバーサル基盤は用いませんが、専用基盤を使った場合でもはんだ付けは必要です。
この際に非常に小さいLEDを選ぶと専用基盤を用いてもはんだ付けが難しくなってきます。
はんだごて・はんだ共にも極小パーツ対応のものを用いるなど道具も選ぶことが必要になってきます。
また、後からのパーツの付け替えを考慮に入れ、基盤の形状等との関係から付け替えしやすいサイズを選択することも必要な場合があります。
用途に応じたチップLEDを利用しましょう!
上記のように、チップLEDは寿命の長さ・エネルギー効率のよい高輝度光源であることや、大きさ、2端子型と比較した場合の取扱・加工の容易性等から、現在の光源パーツの主流となっています。
明るさ・大きさ・照度・取り扱いやすさなどを比較したうえで、用途に応じたチップLEDを選びましょう。