LEDを使用している際「ちかちかして目が痛い」と思ったことや、イルミネーションを見て「なんてたくさんの色が存在するんだろう」とフと思ったことはありませんか?
それは全て波長や周波数で説明することができるのです。
「難しくてわからない」なんて敬遠してしまうかもしれませんが、実はとても簡単なことなんですよ。
そこで今回はLEDの波長、そして周波数について詳しくご紹介していきましょう。
特に周波数はお住まいの地域によって異なるもので、ご利用になられる家電によっては故障の原因になることもあります。
今回ご紹介する情報をしっかりと覚え、ぜひ家電選びの際にもお役立てください。
LEDの波長に関する基礎知識について
LEDの発光原理とは
まずはLEDの波長を知る前に、発光原理について学んでいきましょう。
LEDチップというものは、2つの半導体で構成されています。
それがp型半導体とn型半導体です。
この2つを接合したもので、LEDチップは出来ています。
そしてp型半導体は正孔(ホール)と呼ばれる+の性質を持っており、n型半導体は-の性質電子を持つ半導体です。
この「+と-がある」ということは、乾電池などを見てもわかることですね。
さて、この+と-があるLEDチップに、順方向で電圧をかけるとどうなるでしょうか。
この際はpからnに向かって電子と正孔が移動します。
この電子と正孔が移動することで、電流が生じるのです。
pとnの接合面で、電子と正孔が出会って結合することを「再結合」と言いますが、この時に各々が持っていたエネルギーよりも、更に小さいエネルギーに変化します。
この小さなエネルギーに変化する際に生じた「余分なエネルギー」が、光のエネルギーに変換され発光するというわけです。
簡単に言うと、電子が移動することで電流が作られ、再結合の際にエネルギーサイズが変化することで発光するわけです。
さて、この発光するという現象が起こる時、その発光波長は、半導体材料や設計によって様々な色合いになります。
紫外、紫、青、緑、黄、赤、赤外領域などあらゆる光色を作り出すことができますし、従来の蛍光灯や白熱電球などと比べて純度の高い光色であることが特徴です。
またLEDの光色は、再結合の前後の電子のエネルギーレベルによっても異なります。先ほどの「小さなサイズのエネルギーに変化する際の余分なエネルギー」のことです。
このエネルギーレベルの差が大きければ大きいほど、光の波長が短くなります。
少しややこしいのですが、「エネルギーレベルの差が大きいほど波長が短くなる」というのは大事なポイントになりますので、ぜひ覚えておきましょう。
可視光線に値するのはどのくらい?
例えば虹を見上げてみましょう。
本当に7色に見えますか?
実際に数えてみると4色ほどにしか見えないことはないですか?
実は光の中には、人間の目には見えない色も存在しています。
そして目に見える光のことを「可視光線」と呼ぶのです。
この人の目に見える光、可視光線に相当するのは、下が360~400nm、上が(赤色)が760~830nmの波長です。
nmはナノメートルと呼ばれる単位で、これは10億分の1メートルという短さです。
こう聞くと、可視光線がいかに短い周期の波長であるかが分かりますね。
ちなみに先ほど挙げた「可視光線は360~830nmまで」というこれは、「JISZ8120」という規格でも定義されている範囲です。
波長はまるで波のように山と谷を作って動いていますが、この波の山から次の山までの距離のことをnmで表す決まりになっています。
波長の山から山までが360nmなら紫色に見え、波長の山から山までが830nmなら赤色に見えるということです。
つまりより細かい波を描く波長の方が、寒色系に見えるということになります。
波長を周波数に変換すると?
ここまで波長についてご紹介してきましたが、その波長を周波数に変換してみましょう。
周波数といえばラジオや無線でもお馴染みの単位、Hz(ヘルツ)という単位で表すことになります。
このHz(ヘルツ)というのは、1秒間に何回振動しているかを表す単位です。
目に見えない波長を変換しても仕方ありませんので、可視光線でご説明しましょう。
可視光線の波長を周波数に換算すると、およそ405~790THz(テラヘルツ)に相当するとされています。
そう言われてもピンと来ない方もいるでしょう。
ちなみに一般的な乗用車のアイドリングしている時、この時の周波数が10Hzとされています。
これは「1秒間に100回振動しますよ」ということになります。
しかし可視光線の波長を周波数に変換すると、1番下で405THzです。
この「テラヘルツ」という単語に注目しましょう。
つまりテラヘルツは「1秒間に1兆回振動している」ということになりますので、可視光線を周波数に変換すると、1番下の波長ですら「1秒間に405兆回振動している」ことになるのです。
波長は温度でも変化する?
途方もない数字になる可視光線の波長ですが、実はあまり知られていないことに、その時の温度によっても波長が変化は変化してしまいます。
温度によって波長が変わるということは、つまり「温度によって色が変わる」ということです。
これは温度が変化することによって、半導体の禁止帯幅が変化するためと言われています。
pとnの半導体に「この幅以上に電子を流しては駄目」という設定がされていますが、温度によってその幅が変わってしまうということですね。
波長変化量はその時使用されている材料によっても異なりますが、専門的に言うと「InGaAlP系LEDならば、温度が上昇すればλdが0.1nm/°C程度で長波長側に変化する」とされています。
簡単に言うと「寒ければ寒色系、暑ければ暖色系に変化する」ということです。
これは人間の感覚でも、気を付けて観察すれば見抜くこともできるそうです。
フリッカーの原因は周波数?
「ちらつき」はなぜ起こる?
冒頭でも「ちかちかして目が痛い」と述べたように、LEDでは「ちらつき」が起こることがあります。
これを専門用語で「フリッカー」と言います。
これはLEDの点灯方法によって異なります。
LEDには2つの点灯方法があるのです。それが「ダイナミック点灯(パルス点灯、またはデューティ点灯と呼ぶ場合もあります)」と「スタティック点灯」です。
- ダイナミック点灯:LEDを一定周波数で高速に点滅させる
- スタティック点灯:LEDに常時電流をかけ続けて点灯したままにする
それぞれの点灯方法にはこのような差があります。
ダイナミック点灯は常に電力を消費するわけではないので省エネにもなりますし、LEDの寿命を延ばすことにも繋がります。
そのため今は多くのLEDでこのダイナミック点灯方式が使われているのです。
しかし50Hz以下の周波数(1秒間に50回以下の点滅)になると、人の目には違和感としてフリッカーが認識できるようになり、40Hz程度になるとハッキリと認識することができます。
これはLEDの寿命が近い時、または安定した電力の供給がない際に発生する現象です。
スタティック点灯は、「点滅させる」という仕組みではないため、このフリッカーが起こることはありません。
ただし供給される電流が安定していない場合には、フリッカーが起こる場合もあります。
フリッカーは体調不良を起こしかねない現象ですので、フリッカーを感じるようであれば新しい電球に交換するか、もしくは最初からスタティック点灯のものを選ぶと良いでしょう。
住んでいる場所によって周波数は違う
先述したように、周波数は1秒間に途方もない回数振動しているものです。
そのためコンセントから供給される電力によっては、故障の原因や、それこそフリッカーが起きやすい環境になってしまうことがあるのです。
日本では静岡県の富士川と、新潟県の糸魚川あたりを境界線として、東側は50ヘルツ、西側は60ヘルツの電気が送られています。
ではなぜ50ヘルツと60ヘルツに分かれているのでしょうか。
これは発電機を作る際、その発電機をどこから輸入したかで異なります。
発電所を作る際、関東はドイツから50ヘルツの発電機を輸入し、関西はアメリカから60ヘルツの発電機を輸入したのです。
そのため、今でも東西で違うヘルツ数が流れているということなのです。
ちなみに家電製品には「50Hz」や「60Hz」、もしくは「50/60Hz」という表記がされているかと思います。
「50/60Hz」と表記されているのであれば全国どこでも使用できますが、それ以外のものは使用地域が限られることになります。
これらを誤って使用すると、製品そのものの性能を低下させるだけでなく、発火や火災の原因にもなりかねません。
しっかりと確認してから購入・使用するようにしましょう。
波長・周波数を知ることで対策が取れる
今回はLEDの波長と周波数についてご紹介してきました。
今まで関心がない方もいらっしゃったかもしれませんが、波長の仕組みを知ることで、今後温度による色の変化にも不安にならずに済みますし、フリッカーにもすぐに対応できるようになるでしょう。
また周波数を理解していれば、お住まいの地域による家電の故障、発火や火災といった事故を防ぐこともできます。
我々の生活に欠かせなくなったLEDだからこそ、波長や周波数もしっかりと理解し、上手に付き合っていくようにしましょう。