近年、私たちの生活でも当たり前のように使われているLED。
東京都ではエネルギー消費量の3分の1を占める家庭部門の省エネ対策を推進していく為に、自宅で使われている白熱電球2個をLED電球1個に交換してくれる事業を実施していました。
「省エネ」という言葉がキーワードになっていますが、そもそもLEDとはどのようなものなのでしょうか。
そこで今回は、その特徴は?白熱電球との違いは?などLEDに対して疑問に感じている部分を分かり易く解説します。
LEDとは?
最近では、各家庭の電球をLEDにしていることは珍しいことではありません。
それでも、LEDとは一体何なのか?を理解している人は少ないのではないでしょうか。
まずは3つのアルファベットが何を表しているのかを確認していきましょう。
LED=発光ダイオード
LEDとは「LightEmittingDiode」の略で、日本語では発光ダイオードのことを意味します。電圧を加えると光を発する特性を持っています。
LEDから放たれる色の種類はさまざまで、赤、黄、桃、青、緑、白といった各色を発光しています。
LEDの歴史
LEDと耳にすると「最近出てきたもの」といったイメージがありますが、実際にはそうではありません。
確かに一般家庭などで使われるようになったのは2005年以降ですが、その歴史は想像以上に深く、長きに渡って研究が続けられてきました。
元々は1962年にアメリカの研究者でもあるニック・ホロニアックが発明しました。
当時は赤色LEDのみの登場でしたが、その後は日本人を含めた多くの研究者によって次々と新たなLEDが発明されていきました。
LEDの発光原理
それでは、LEDはどのようにして光っているのでしょうか。
簡単に言ってしまえば、LEDは電気を直接光に変化させるという発光原理を持っています。
では、どうやってどうやって電気を光に変換させているの?という疑問に辿り着くかと思います。
その秘密はLEDチップの構造にあります。LEDチップには電気の(+)が動くP型半導体と(-)が動くN型半導体の2種類が使われており、これらを合わせて通電することによって(+)と(-)が衝突して接合面が発行しています。
LEDの特徴
東京都が実施しているLEDを交換する事業において、最大のキーワードとなるのは「省エネ」です。とは言っても、この言葉だけではLEDを使用するメリットを感じることができないかもしれません。そこでLEDが持っている特徴をいくつかご紹介します。
寿命が長い
恐らくLEDと聞いて、一番に思い浮かぶ特徴が寿命の面ではないでしょうか。
LEDの寿命は極めて長く、製品や使い方などによっても多少の違いはあるものの、20,000~60,000時間と言われています。
そのため、ランプ交換が長期間交換不要となります。
そしてLEDの寿命はランプが不点灯になった瞬間ではなく、光束が一定値を下回った瞬間を基準値としています。
そのため、メーカーが提示している期待寿命よりも長時間点灯し続けることが、理論上では示されています。
消費電力が少ない
私たちの生活において、欠かせないのが電気です。
各家庭において、少しでも電気代を節約させようと工夫していることも多いのではないでしょうか。
最近では電力の自由化が始まり、電気代に対する考え方も変わってきています。
それでも普段の生活において、電気代を節約できることは限られてきますよね。LEDを使用すれば、消費電力を最小限に抑えることができます。
これなら、経済的にも大きなメリットとなりますよね。
他の照明器具との違いは以下の通りです。
- 白熱電球と比べて約6分の1
- 蛍光灯と比べて約2分の1
- ハロゲンランプと比べて約6分の1
- 水銀灯と比べて約5分の1
紫外線・赤外線の放出が少ない
LEDは電気を直接光に変換させる仕組みとなっていることからも発熱量が少なく、赤外線や紫外線をほとんど放出しません。
普段電気を使用する上で紫外線や赤外線の量を気にする人は少ないかもしれませんが、これによってさまざまなメリットを得ることができます。
まず紫外線が少ないということは、生鮮食品の劣化を助長しないことや衣服の色の変色を防ぐことに繋がります。
また熱源となっている赤外線が少ないということは、電気に直接触れて火傷する危険性も軽減するなど安全性にも優れています。
LEDが使われている場所
現在、LEDはさまざまな場所で活用されています。
多くの一般家庭でも従来の電球から切り替えられていますが、LEDの特製を活かした使われ方をしている場合もあります。
その代表的な例を挙げるとともに、問題点も浮き彫りにしていきます。
信号機
LEDが使われる代表的な例が信号機です。
従来の「電球式」だと疑似発行やメンテナンスコスト、消費電力など、さまざまな課題が浮き彫りになっていました。
これらを解決してくれるのがLEDであり、多くの信号機で交換が行われています。
ただし、LED式信号機にもいくつかの欠点が挙げられます。
特に問題となっているのが色合いの違いです。
これに関しては信号機の国際基準範囲内となっていますが、人によっては色の見え方には違いが生じてしまうため、問題視されているケースもあります。
電飾看板
広告や宣伝のために看板を出すことがありますが、中でも電飾で光らせて目立つ電飾看板は見る人に強いインパクトを与えることが可能です。
しかしながら、文字やイラストだけの看板とは違って、ランニングコストが多くかかることがネックでした。
その代用品として利用されているのがLED看板です。
非常に明るく、昼夜に関係なく目立ちやすいのが特徴です。
またランニングコストも安く抑えることが可能です。
ただし初期費用が高くなってしまうところはデメリットと言えるかもしれません。
白熱電球との大きな違い
LEDは明かりの世界において、「ろうそく」「白熱灯(電球)」「放電灯(蛍光灯)」に続く第4世代の明かりとして注目を集めています。
それでは従来、私たちの家庭などで多く使われていた白熱電球とはどのような違いがあるのでしょうか。
寿命
先述した通り、LEDを使用する大きなメリットは寿命の長さです。
従来使われてきた白熱電球の寿命は約2,000時間程度なのに比べて、LEDの場合は20,000~60,000時間と言われています。
またLEDであれば、白熱電球のように寿命がくると突然切れる心配もありません。
寿命が長いということは交換も長期間不要です。
仮にLEDの寿命が50,000時間だった場合、1日8時間使用して、理論上は17年間使用可能です。対する白熱電球は交換までに約8か月と非常に短く、費用も結果的に高くなってしまいます。
点灯の応答性
電気を点けたり消したりするのに、余計なストレスは感じたくないですよね。
ただし従来型の白熱電球などの場合、熱を光に変換する発光原理であることからも、発光までの応答時間が長いという欠点が挙げられていました。
対するLEDの発光原理は電気を直接光に変えるものです。
そのため、発光までに応答時間が非常に短く、スイッチをオンにすればすぐに電気を点けることができます。
この特性を生かして、人感センサーなど常に点灯させる必要のない照明器具でも多く使われています。
まとめ
私たちの生活において、身近な存在となりつつあるLED。
「省エネ」というキーワードが最初に思い浮かぶ人も多かったと思いますが、LEDを使用することで得られるメリットはそれだけではありません。
もちろん寿命が長く、消費電力も少ない特性を持っているため、経済的に節約を考えている人は導入を考えてみてはいかがでしょうか。