直管型のLEDは、いわゆる蛍光灯のように真っすぐな形をしているものです。
今蛍光灯をお使いの方で、直管型のLEDへの切り替えをお考えの方もおられるでしょう。しかし従来の蛍光灯の器具に、そのまま直管型のLEDを装着するには危険があります。
今回はこの直管型のLEDに切り替える前に、ぜひとも知っておいて欲しい注意点について、詳しくご紹介していきましょう。
照明器具との組み合わせが大事
間違えると発火や火災の恐れがある
蛍光灯や直管型のLEDは国内外から数多く販売されています。
それに伴いW数の違いや口金形状の違いなど、多種多様な組み合わせになることになるのです。
例えば直管型のLEDだけでも、大きく分けて3つに分類することができます。
- 直流電源内蔵/商用電源直結形
- 直流電源内蔵/既設安定器接続形
- 直流電源非内蔵/直流入力形
電源が内蔵されているかどうか、また安定器が必要かどうかで工事の有無が変わります。
上記の場合ですと、 「1」と「2」は配線工事を行う必要があり、従来の蛍光灯器具を改造しなければなりません。
上記で唯一工事が不要なのが「3」です。
こちらは既設の蛍光灯照明器具にそのまま装着しても問題ないでしょう。
このように今まで使用していた蛍光灯照明器具と、新しく切り替える直管型のLEDの組み合わせは、必ず確認せねばならないものなのです。
これを怠り間違った組み合わせをしてしまえば、光量の変化やLEDの寿命の短命化だけでなく、発火や火災といった重大な事故の元になってしまいます。
特に危ないのが、従来の蛍光灯と同じ口金「G13口金タイプ」を採用している場合です。
蛍光灯でよく使われている口金のタイプだけに、直管型LEDでもこの口金のサイズはよく売れられています。
しかし「口金が同じだから使えるものだ」を安易に判断してはいけないのです。
実際にあった事故事例
ここで従来の蛍光灯照明器具と直管型LEDの組み合わせを間違え、事故に至ってしまった事例をいくつかご紹介しましょう。
- 発生日:2016年7月
- 発生場所: 個人住宅 リビングの天井灯(間接照明)
- ランプ:G13口金付き直管LEDランプ(中国製)
ラピッド式器具専用のレトロフィットタイプ
購入ルート:ネット販売- 照明器具 :半導体式1灯用照明器具(既設器具)
適合ランプ:ラピッドスタート形蛍光ランプFLR40S/36(既設ランプ)- 事故現象 :火災(東京消防庁の判定)
ダイオードブリッジ側の電源基板焼損⇒口金樹脂及び樹脂カバー溶融- 推定原因 :ラピッド式器具専用の直管LEDランプが半導体式器具に誤使用された。
この場合は元々使用していたものが「ラピッドスタート形」であったため、ラピッド器具専用の直管LEDランプを接続してしまったことです。
しかしこの場合安定器はラピッド式ではありませんでした。
そのため安定器のみに重大な負荷がかかり、事故に陥ったものだと考えられます。
2つ目の事例も同様に「G13口金タイプ」による事故です。
- 発生日:2016年8月
- 発生場所: 集合住宅1Fエントランス天井灯
- ランプ:G13口金付き直管LEDランプ(中国製)
ラピッド式器具専用のレトロフィットタイプ
購入ルート:ネット販売- 照明器具: グロー式照明器具(既設器具)
適合ランプ:スタータ形蛍光ランプFL40S、FL40SS/37(既設ランプ)- 事故現象: 火災(東京消防庁の判定)
スイッチング回路側の回路基板焼損⇒口金樹脂及び樹脂カバー溶融- 推定原因: ラピッド式器具専用の直管LEDランプがスタータ式器具に誤使用された。
こちらでも本来ならば工事が必要だったにも関わらず、口金のタイプのみで判断してしまったため事故に至りました。
このように「口金は合っているが工事が必要かどうか」は、素人が判断するのは非常に難しく危険な行為なのです。
ご紹介したように「G13口金タイプ」での事故が頻発しており、これを受けて日本照明器具工業会発表から下記のような注意事項が発表されました。
従来の蛍光灯照明器具に新しい直管型LEDをつけようとお考えの方は、ぜひこの画像を参考にしてみてください。
直管型LEDに切り替える前に最初に覚えておくこととは?
直管型のLEDへ切り替える際、あなたはどのようなことを気に掛けるでしょうか。
デザインや光色などの見た目を気にされる方、W数や消費電力などの性能を重視する方、または金額で判断される方もおられるでしょう。
しかし何よりも最初に判断せねばならない基準、それは「安全性」です。
ここまでご紹介してきたように、「今までの蛍光灯の照明器具でもLEDが使えるかどうか」を、口金の形やW数、商品に書かれた「工事不要」の文字などだけで判断してしまい、電源内蔵の有無や安定器のことまで考える方はとても少ないのが現状です。
恐らくLEDに切り替える理由は、多くの場合が省エネでしょう。
しかし言ってしまえば、省エネの観点ならばどのようなLEDでも蛍光灯より省エネできます。
LED商品の中で多少の差はあるものの、蛍光灯に比べればどれも省エネに繋がるのです。
ですので直管型LEDを選ぶ際は、何よりも「リスク回避」を念頭に置き、安全性を重視した商品選びをするようにしましょう。
直管型LEDは4種類に分けられる
工事が不要のタイプ
先ほどは直管型LEDを3つに分類しましたが、今度は「工事の有無」という基準で4つのタイプに分類してみましょう。
最初のタイプは工事が必要のないタイプです。
この場合の「工事不要」は、「従来の蛍光灯照明器具でも使える」というだけで、安全性までは確立されていません。
例えば蛍光灯で使っていた安定器がそのまま使えると言っても、LEDに比べ安定器のみ劣化したものを使うことになりますので、LEDより先に安定器が寿命を迎えることになります。
そうなればLEDの長寿を全うすることはできないでしょう。
また安定器を使わないタイプのLEDだとしても、安定器の配線を切る工事をしなければそのまま通電を続けることになりますので、安定器の劣化は進み事故に繋がる場合も考えられます。
工事が必要な安定器内蔵型
現在最も多くのLED照明で普及しているのが、この安定器内蔵型で工事が必要なタイプです。
これであればLEDと共に新しい安定器を使用することになり、LEDの特徴をそのまま安全に使用することができます。
ちなみにこの際必要になる工事は、それまで使用していた蛍光灯用の照明器具の取り外し工事と、LED用の配線のバイパス工事です。
手間と費用はかかりますが、事故が起こる可能性がとても低い安全なタイプです。
工事が必要な安定器別置型
3つ目のタイプが、安定器別置型の工事が必要なタイプです。
こちらも上記の場合同様、安全性に優れたタイプと言えるでしょう。
上記と違うメリットとして、見た目がすっきりとすること以外にも、安定器を別置することになるお陰でLED照明の放熱板部分が狭くなります。
そのため拡散PC部分が大きくなり、照射角度の広い快適な光量を得ることができます。
器具一体型
最後は器具一体型タイプです。
これは照明器具はもちろん配線も安定器も全て一体化している商品と、従来の蛍光灯照明器具をごっそり入れ替える方法ですので、こちらも安全性は確立されています。
ただLEDの照明器具の本体費用はもちろん、工事費や取り外した蛍光灯照明器具の廃棄処分費など、どのタイプよりも1番高額になるデメリットがあります。
直管型LEDの直径と放熱板のサイズを確認しよう
下記の画像を見てみましょう。
左が「電源(安定器)内蔵型」で、右が「電源(安定器)別置型」です。
上記でも述べたように、別置型の方が見た目がすっきりとしていますね。
それぞれの特徴を少し挙げてみましょう。
内蔵型の場合
- 本体が太くなる
- 重量が重い
- LEDの寿命を迎えた際に蛍光管の交換だけで済む
別置型の場合
- 本体が細く軽い
- 放射版が狭く照射面が広い
- LEDの寿命を迎えた際は別置の安定器ごとの交換になるので工事が大がかりになる
このような違いがあります。
つまりメンテナンスのことまで重視するのであれば内蔵型、光量や見た目を重視するのであれば別置型ということになります。
このように、商品を選ぶ際は直管型LEDの直径と放熱板のサイズだけでなく、性能や特徴を知ることが大切です。
照明器具はランプを消費しているだけではない
直管型のLEDを選ぶ際に気を付けなければならないことは、照明器具はランプ部分だけでついているのではないということです。
中の配線や安定器など、様々な部分を消費しながら明るい光を照らしてくれています。
このことを理解していれば、「古い安定器に新しいLEDをつける」ことの危険性がおわかり頂けるかと思います。
また商品に書かれた「工事不要」の文字は、「使えるけれども安全性は確立されているわけではない」というのも要注意です。
おすすめの工事不要商品がこちら!
本当に工事が必要なく、また上記で挙げたような事故にも繋がらないおすすめの商品をいくつかご紹介しましょう。
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こちらは画像を見て頂いてもわかるように、コンセントを繋ぐことで使える商品です。これならばお好きなところにつけてコンセントを挿すだけですので、安全性にも問題ありません。
直管型のLEDへの切り替えを行うのであれば、何よりも安全性を考慮した商品選びを行うようにしましょう。