LED照明は、従来の蛍光灯と比べて、少ない電力で明るい照明効果が得られるため電力消費量を削減し省エネに役に立つことで知られております。
その一方「目に悪い」と言われることがあります。
それは本当なのでしょうか。
今回はその実際にLEDが人体に悪影響をもたらすのかを調査してみました。
LEDは目に悪い?
結論からすると、LEDは目に悪くないとされています。
実際にLEDが原因とみられる健康被害や疾病などは医学的に報告されていないことから、このように結論づけられて現在の定説となっているのです。
蛍光灯からは微量の人体に有害な紫外線が放出されていますが、照明用のLEDからは放出されませんので、若干蛍光灯よりも目に優しい照明であるとさえ考えられます。
基本的には目に悪いとはいえないLEDですが、長時間見つめ続けることや、強すぎる照度の光を見ることは、太陽光を直接見る事と同様に眼を痛めてしまう可能性があります。
しかし、LED照明から放出されるブルーライトには注意が必要です。
ブルーライトには眼科系疾患を発生させ、サーカディアンリズムを狂わせてしまうなどの悪影響があると言われているからです。
ブルーライトとは?
ブルーライトとは、波長が360-500ナノメートルと短い青色光のことです。
可視光線という人の目で見ることのできる光線の中では波長が最も短く、エネルギーが強く、遠くまで到達します。角膜や水晶体で吸収されることがないので、網膜まで届く光線です。
ブルーライトは、人体に有害な紫外線に波長の長さが近い光線でもあり、網膜に届くエネルギーも強いことから眼科系疾患や全身の健康上の影響が生じる可能性があることが指摘されています。
特に夜にブルーライトを見続けることはサーカディアンリズムの変調につながりやすく、自律神経失調症やうつを引き起こす可能性があることが知られています。
LEDの他に、PCやスマートフォンからもブルーライトが放出されるため、現代の私たちの生活はブルーライトに囲まれていると言ってもよい状況です。
長時間見ると網膜損傷や眼病被害のリスクも
ブルーライトの特徴としてそのエネルギーの強さが挙げられますが、角膜にも水晶体にも吸収されることはなく透過してしまいます。
網膜に直接強い光線を当てることにより、網膜が傷つく恐れがありますが、特に、網膜にある「黄斑」にダメージがあると「黄斑変性」という状態が起きてしまいます。黄斑変性は、最悪失明してしまう可能性がある眼科疾患です。
加齢による黄斑変性があることは皆さんご存知と思いますが、ブルーライトによる黄斑変性は、中高年層だけでなく、PCやスマホを頻繁に利用し、目に負担をかけている若年層にも発生のリスクがあります。
さらに、ブルーライトは網膜剥離の原因となる可能性もあります。
上にもふれたように、網膜にブルーライト光線を当てることは網膜を傷つけることにつながりますが、網膜が文字通り剥がれる網膜剥離は、重症となりますと黄斑変性と同様、失明する恐れがあります。
また、ブルーライトは光が散乱しやすいという特性があります。
このことからより眼の毛様体でしっかりピントを合わせないと、文字や画像が正しく認識されません。
毛様体を酷使することは、眼精疲労につながります。
眼精疲労が悪化すると、老眼や乱視が進みがちとなりますし、三叉神経を眼の酷使により強く刺激して、三叉神経痛の原因になってしまうこともあります。
対策方法はブルーライト専用のサングラス
対策として目を意識的に休ませることは確かに有効ですが、より有効なのは、ブルーライトを遮断することです。
具体的な方法の一つは、メガネ店を運営する各社が競って開発している「ブルーライトカットサングラス」を使用することです。
ブルーライトカットサングラスは、基本的に青色光の補色となる黄色のレンズを入れたサングラスです。
大人用だけでなく、今後ブルーライトと長く付き合うことになる子供たちに、ブルーライトカットサングラスはこれからの必需品と言えそうです。
各社子供向けの商品ラインナップを揃えています。
ブルーライトカットサングラスはブルーライトを80%以上カットできるなど効率よくブルーライト対策できるアイテムです。
しかし、「お客様の前に出るためにサングラスは難しい」「子供にメガネを使わせるのは破損が多いし不便」といった困りごとが生じがちなのも事実です。
そういう場合には、ブルーライトカットサングラスを使う代わりに、PCやスマホにフィルターをかけることも可能です。
PCのフィルターや、スマホの破損防止フィルムにはブルーライトカットに対応している商品があり、最近ではWeb通販等を通じて容易に手に入るようになりました。
また、スマートフォンにはiPhoneのナイトシフトモードのように、プログラムでブルーライトの放出自体を抑えることができる製品が増えてきました。
優れた特徴をもつLED、でもブルーライト対策は忘れずに
上記のように、LED照明は、省エネ効果あり・調光や調色が容易といった多くのメリットがある一方で、LED照明そのものではなく、ブルーライトによる眼の病気の懸念があることがわかります。
この点、ブルーライトカットサングラス・PCなどのフィルター、デバイス側の機能でブルーライトをコントロールすることは可能です。
また、眼を一定の作業時間を超えたら休めて、酷使しないこともよいブルーライト対策になります。
なお、動物実験の結果、ブルーライトによる網膜への損傷は、2、30時間にわたって直接強い光を見なければ発生しないと言われるレベルですので、ブルーライトカットのための対策をしていれば気にしすぎないほうがよさそうです。
ブルーライトも太陽光にもふくまれており、朝に浴びれば、むしろサーカディアンリズムを安定させる効果がありますので、有害なだけではないことも知っておいて下さい。